【人・街・声】終末期を考える市民の会結成20周年(産経新聞)

 ■西村会長「毎日が感動の連続」

 誰もがいつか直面する「死」を考えることで、限りある命を悔いなく生きることを提唱する「終末期を考える市民の会」を、東京都文京区在住の医師、西村文夫さん(85)が立ち上げて今年で20年目を迎えた。会員は800人に増え、会が作成した終末期の希望を記しておく書面「終末期宣言書」(リビングウィル)を書いた人は千人に達した。西村さんは「毎日が感動の連続だった」と振り返る。(清水麻子)

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 西村さんが死について考えるようになったのは、今から25年前の60歳のとき。自宅で突然吐血し、救急車で運ばれた先の病院で、胃がんがみつかった。

 「長年、産婦人科医をしていて、未熟児が生まれたり、難産により母胎が亡くなるといった現場で、生や死は身近なものでした。でも自分が死に直面したことで、実感を伴って迫ってきました。救急車の中で、ああ、これでわが家も見納めか、と感じたのを覚えています」と西村さん。

 幸い見つかったがんは早期で、一命をとりとめた。しかし胃の全摘手術を受けた西村さんは退院後、まったく食欲を感じなくなった。そんな中で、西村さんの心に迫ってきたのは、終末期についての自分の意思を書面に残しておかなければ、という思いだった。

 生前の意思をリビングウィルとして書面に残す活動を行っている団体に日本尊厳死協会があった。しかし西村さんは、協会のリビングウィルを読んだとき、物足りなさを感じたという。

 「不治の病になったときには延命治療をしない、というのがその趣旨でした。でも個人には延命治療を拒否する権利もあれば、最後まで望む権利もあります。また終末期に選択を迫られる問題は、告知や終の棲家、脳死状態になったときの臓器の提供など、さまざまです」

 そこで、自分の意見が正確に反映されるものを仲間とともに考え、独自の「終末期宣言書」として全国への普及をめざすことにした。平成2年8月のことだった。

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 それから20年近くになり、数ある思い出の中で、心に残っている出来事があるという。

 今から10年前のことだ。当時、70代だった西村さんのもとに、同世代の女性会員から連絡があった。夫が末期がんで、胃がんが肝臓などにも転移し死が迫っていたが、自らがんだと知らないまま、朝、ぽっくり息を引き取ったという。

 女性は「私が終末期宣言書を子供の前で話題にしたとき、夫は『僕はがんになっても黙っていてほしい。手術なんか絶対にいやだ。朝、目を覚まさず死んでいたというのが一番いい』と言っていました。夫の終末期の意思を確認できたのは、会のおかげ。どうもありがとうございました」と涙ながら言われたときに、活動を続けていてよかったとしみじみ思ったという。

 85歳になった西村さんには最近、自身が、どう死ぬか、より真剣に考えるようになったという。

 「死の恐怖を知らないで逝くPPK(ピンピンコロリ)が理想の死に方と良くいわれますが、私は、周囲や家族にあいさつもせず、勝手に逝くのはちょっと申し訳ない気がします。周囲も長くないと思い、本人もそれを分かっていて、最期に『ありがとう』と言って死にたい。幸い、自分の家計は、脳卒中でぽっくりいくよりも、がんや老衰の家系(笑)。今度、がんができたら、手術をせず、がんとともに生きていこうと思っています」

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 会では2月4日、20周年を記念し、死生学の権威、のアルフォンス・デーケン氏を招いて「死生学入門〜よく生き よく笑い よき死と出会う〜」と題した講演会を開く。

 午後6時15分開場、講演は7時から。文京区春日の文京シビックホールで。問い合わせは「終末期を考える市民の会」事務局(電)(ファクス共通)03・5603・6004まで。

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